平成26年1月吉日   
石川県弓道連盟会長   
   水橋 美喜夫   
水橋会長写真
午年を突き抜ける(平成26年初春にあたり)

 県連会員の皆様に謹んで初春のお慶びを申し上げます。
 地球生命体ガイアという大きな概念のもと、今日ここに新しい年を迎えることに感謝したいと思います。近年は、とくに自分自身の健康管理に気を遣うようになりました。毎日が平穏無事であるということは何と有り難いことかと思います。指導員養成講習会では栄養や体力面のカリキュラムに多くの時間が割かれていますが、会員の皆さん自身や大切なご家族の方々の健康管理にもぜひ気配りをお願いします。
 「明けましておめでとうございます」というあたりまえのフレーズですが、「正月はなぜおめでたいのか」という言葉を見て調べてみると、これは、歳神様をお迎えする際の祝福の言葉だとあります。歳神とは、一年の初めにやってきて、その年の作物が豊かに実るように、また、家族全員が健康で暮らせる約束をしてくれる神様だということです。めでたいとは芽が出るにつながる言葉だともあります。こうした日本の伝統文化である良き風習も、古くさい、関係ないという一言で隅に追いやられてしまい、「なぜ?どうして?」という疑問すら持たなくなりました。
 急にこのような事を挨拶として書いたのは、私たちが日々修練している弓道においても、すべての所作において数百年の伝統の裏付けに基づく深い意味があるにも拘らず、形だけをなぞっており、「なぜ?どうして?」という感受性が希薄になっているのではと気づいたからです。 
 段位や称号が伴ってくると幅広い知識を求めるようになりますが、例えば公益財団法人全日本弓道連盟の規約第3条には、「この法人は、日本固有の伝統文化である弓道の継承及び斯道の普及振興…」と謳われています。さて、この日本固有の伝統文化について分かりやすく解説する自信がありますか。また、弓道はすべてが伝統文化と言えるのでしょうか。
 言うまでもなく、我々弓道人は和服着用の機会が多いのですが、和服そのものの知識を充分身に付け、その着付けは万全なのでしょうか。弓道の所作のすべては和服着用を前提にして定められたものだと言われています。また、伝統文化の象徴である礼の所作はどうでしょうか。礼の意味を弁えているでしょうか。もちろん知らなくとも弓道はできますが、永年にわたって築き上げた美の集大成とも言える日本の伝統文化の奥深さを学ぶことで射も上達すると思いました。
 好きな言葉として「弓道人らしさ」があり、これは先般、全弓連の月刊「弓道」誌1月号にも巻頭言で書かせていただきました。「らしさ」は外見ではなく心の錬磨度です。日本の伝統文化について知識経験が豊富な人はどこか上品で、まさに射品・射格となって人間性が滲み出ていると感じます。それこそが「らしさ」ではないでしょうか。逆に、「なるほど射はうまいね、でもあの人の人間性はイマイチだ、あの人は口ばっかりだ」等という囁きをよく聞きますが、自分の姿は自分では見えません。自分自身を一番知らないのは自分です。「離見の見」というのもまさにこのことを意味していると思います。心すべき言葉です。
 聞いた知識で恐縮ですが、今年の干支のウマは正確には「馬」ではなく「午」の文字を充て、十二支では7番目で、いわば折り返し点です。人生に譬えれば50歳代に入る頃でしょうか。まだまだ伸びしろがある時期でもあり、そろそろ衰えが見え始める頃でもあります。私は、この午の字の縦棒を上に突き抜けて「牛」を目指したいと考えています。牛歩という言葉はあまりイメージが良くありませんが、神様のもとにいち早く到達したのは牛でした。一方、正月に放映された流鏑馬で疾駆する姿は見応えがありました。大向こうを唸らせる躍動感や華やかさは魅力があり、関心が向けられますが、粘り強さ、努力家の象徴である牛の歩みの力強さや着実さのほうも捨て難い魅力があります。天に(そして地に)突き抜ければ違う景色を見る事ができると思います。「怠らず、行かば千里の外も見ん、牛のあゆみのよしおそくとも」




平成25年5月吉日   
石川県弓道連盟会長   
   水橋 美喜夫   
水橋会長写真
平成25年度の事業方針について

 平成25年度事業の主要方針として、まずは昨年度に掲げた三つの重点項目及び危機管理対策を引き続き推進していきたいと思います。
さらに、県連事業の実施に伴う必要経費(主に役員等の交通実費)については見直しを行い、相応の費用弁償をしたいと考えています。
また、各協会・団体における指導者や役員等の日頃の地道な功績に報いるための功労者顕彰についても、実施に向けてデータ取りまとめなどを進めたいと思います。
加えて、公益財団法人全日本弓道連盟への対応ですが、ご承知の通り、改革大綱がまとめられつつあります。具体的な詳細は不明ですが、これまでの会議経過をみると今後は大幅な改正がなされるのではないかと推測されます。
「不易流行」という言葉があります。いつまでも変わらない事業を続ける組織に発展はありません。何を固守し、何を変化させるのか、全弓連でも弓道の生き残りをかけての熱い議論が続いているようです。
その要点は、
@公益性、公正性、公平性、透明性、将来性の観点に立ち、武道の基本に軸足を置くこと
A組織・財政の健全化を図ること
B弓道人口の拡大を図る
C弓道を知らない第三者からの厳しい評価にも耐えうる(説明ができる)事業内容であること
などですが、これらはひとり全弓連だけではなく、我々県連においても当然心すべき事柄であり、これに柔軟に対応できる体制づくりを目指したいと思います。
さらに、北信越弓道連合会及び北陸弓道連合会が実施する諸事業への参加・連携も重要です。今年度は当番県としての事業は割合に少ないのですが、平成26年度は石川県が北信越ブロック主要事業の主催県となるため、事前の準備を怠らずに進めて行きたいと思います。
 検討課題として、2年後に迫った北陸新幹線の金沢開通に伴い、賑わいづくりへの弓道の貢献策についても会員のお知恵を拝借したいと思います。
繰返しになりますが、これらの諸事業を円滑に遂行するためには、加盟団体、関係各位のご協力が欠かせません。そのためには会員全体の「情報及び認識の共有」が必要だと考えています。
新年度もこれまで以上に会員の力と心を結集して所期の目的達成に向けて邁進したい、そして明るく楽しい弓道を目指したいと考えていますので、よろしくお願いいたします。