峰高く、道険し

広報 部長
黒川 正道
「弓道石川」に投稿したものを掲載します。

 5月4日京都定期審査において、図らずも六段に合格させて頂きました。
多くの先生方に、講習会等でご指導頂きましたお陰様と感謝いたしております。また、多くの方々から、お祝いのメールや電話を頂戴いたしました。ありがとうございました。
 日頃より、引き分けのまずさからくる離れの悪さに悩まされ、講習会でも途中までは素晴らしいのでどんな離れをするのか楽しみに見ていると、がっくりした・・・と講師の先生に言われるほど離れの下手くそ加減は並みではなく、五段も錬士もよくぞ合格したものだと、自分の射に劣等感を持っております。それでもここまで続けて来られたのは、いろんな悪癖を講習会等でヒントを頂き、自分でも考え、少しずつ修正してそれを文章にして残していく楽しさ、この楽しみがなければ、とっくにやめていたと思っています。
二段離れ気味の妻手の切れの悪さは、少しずつは改善されているものの、何とももどかしい状態が続いています。縁あって工大弓道部の外部コーチとして学生達と一緒に稽古をさせて貰っていますが、審査前日に妻手の飛びを学生にチェックしてもらっても、8割方首を傾けられる有様でした。引分けでの妻手前腕の張りが足りないのです。この点は石井先生にも4年前にご教示頂いていますが、未だにうろうろしています。そんなこともあって、最近は審査を受けることなくここまで来たのですが、最近役員の先生方に、「受けなきゃ進歩しない。受けなきゃ受からない。」と背中を押され、久しぶりに一歩踏みだしました。
 当日は、学科も心配でした。先ず学科が何とか書けてホッとした後、前日の良い感じの射を繰り返しゴム弓でイメージトレーニングして臨みました。
 甲矢、イメージ通りに進めたが、引き分け後半やはり妻手の張りがしっくりこない。しかも緊張からか弓手が細かく揺れる。息を丹田に降ろして納めようとするが揺れは止まらない。この間の時間を会と勘定するならば、いつもの倍以上十数秒は離せなくていた。そして離れはしたが、妻手は明らかに二段離れの自覚がありました。残身で「やっぱり駄目だったか、終わった」と頭の中のもう一人の自分が呟いている。が、的中はしたようなので、これで乙矢も見て頂ける。次につなげるためにもやれるだけの事を尽くそうと、気を取り直して乙矢に向かいました。
乙矢も状況は同じで、会まで来ると、納まらないのに放して早く楽になりたい自分と、これで放しては後悔するぞと言うもう一人の自分との闘いでした。そして離れたのか放したのか、今度は少し良かったように感じましたが、確信は持てませんでした。
 そんな、雑念だらけの一手でしたが、最近は束中しても中々合格しないと聞いていましたので、結果を聞いて驚くやら、嬉しいやら、あんな射で申し訳ないと恐縮するやらの複雑な思いでした。図らずも合格した・・・そんな心境は少し時間がたった今も変わりません。
 以前の合格の時も同じ様な事を思っていた時、「合格をしても実力があると認められた訳ではない。入り口に立ったと認めて貰ったのだから、これから見合った実力をつければいい。」と励まされた事を思い出し、今回も六段の入り口に立たせて頂いたと心に銘じ精進したいと思います。これから先も"峰高く、道険し"だと思いますが、先日お亡くなりになられた高畠先生の投稿記事の"60才から弓を始め・・・"を鑑みる時、まだ64才の私など先生の歩まれた道程からは、まだまだ鼻たれ小僧、あきらめたりくじけたりしないで、亀の歩みで一歩一歩前に進まねば申し訳ないことだと思っております。
重ねて、多くのご教示を頂いた先生方にお礼申し上げ、合格感謝の言葉といたします。
(H25.5.19)




100kmマラソンを走ると弓道の筋肉がリセットされる

広報 部長
黒川 正道
「弓道石川」に投稿したものを掲載します。少しでもアクセス数向上になればと・・。

前回9月15日の大事な理事会を欠席させて頂いて、100kmマラソンに出場しました。
その際の理事長からの欠席条件は「完走して、弓道石川に投稿すること」でした。
 出場したのは東尋坊から勝山平泉寺往復100kmを走る「第一回東尋坊愛の100キロマラニック」。朝5時東尋坊をスタートし、夜8時までに東尋坊に戻ってくる制限時間15時間の福井県で初めての100km大会で、勝山は小中学校時代に住んでいましたので、懐かしさもあり早々に申込みました。
 当日は、最高気温34℃、夕方6時でも30℃と、15時間のうち8時間は30℃以上、雲もなく、日陰も殆どない走るには厳しい条件でのサバイバル大会となりました。出場者は215人、制限時間内に完走できたのは30%、65人でした。
私は、幸いにして、制限時間6分前にゴールできました。その内2時間程は、給食・給水・休憩・信号待ち等止まっていた時間、歩いたのが30分程、残りの12時間半近くは断続的に走り続けたことになります。
 100kmを走るために必要なエネルギーは私の体重では約6000Kcalそれに基礎代謝を加えると8000Kcalが必要になります。
これを、食べ物から摂取することは不可能です。ただでさえ、70km過ぎると疲労で食欲が落ちて来ます。血液中の糖分を燃やし、筋肉中や肝臓に蓄えられているグリコーゲンを糖分にして燃やし、更に脂肪を燃やして対応します。
最も燃え易いのが糖分で、燃えにくいのが脂肪。人間の脂肪は2割の水分を含んでいるので燃えれば1g当たり7Kcalに相当するそうです。したがって、脂肪が燃えてくれれば、1kgもあればOKなのですが、中々燃えてくれません。
お金は貯金するのが難しく、脂肪は逆に使うのが難しい。逆だったらどれだけ助かるだろうかと思ってしまう。結局、体重はしばらくの間2kg近く減ったままの状態が続きました。
 ここからが弓道との関係になるのですが、普通であれば、20射位の稽古は翌日に筋肉痛になることはありません。
しかし、100kmを走った後は20射もしたら、翌日強烈な筋肉痛がきます。
これは何を意味するか。
走ることに必要のない筋肉を分解して、走ることに必要な筋肉特に脚に回す仕組みがあるようです。本当に人間は生き残るための巧妙な仕組みを備えていると感心せざるを得ません。
と云うことで、弓を引くに必要な筋肉をリセットできることになります。
正しく引くための筋肉もリセットされますが、癖を発生させる不必要な筋肉もリセットしてくれているはずです。普通ならば筋肉をリセットするためには長期間休止する必要があるものを、1日でリセットできるのは、考えようによってはメリットです。
私は、100km走った後は必ず、ゴム弓・素引きで、その時点で考えられる癖の修正を意識しながら正しい射を目指したいと考えています。
それが、効果となって表れるかはこれからの努力次第・・・少しでも良くなればと思いますが・・・リセットばかりで・・・(赤面)
(H24.12.22)




先陣を切ります・・・私流弓道の楽しみ方

広報 部長
黒川 正道
 今年から図らずも広報部長になりました黒川です。
パソコンおたく技術を買われてのことだと思っています。
今、業務が一気に増えて戸惑いながらも、会長が掲げられた三本の柱の目標達成に向けて頑張ります。
 その目標達成の一環として早速、ホームページアクセス数向上が会員の活性化に、更には会員数の増加につながると云うことで、広報部内で議論し、先の常任理事会にアクセス数向上策を提案し、実施の方向が承認され、理事会、評議員会でも了承されました。
 その中の一つが、「各役員、専門部長等の抱負(あるいは弓道を始めたきっかけ等)の掲載」で、順次役員・専門部長が投稿されますが、先ずは提案元で新米専門部長の私から書かせていただきました。
 広報部は縁の下の力持ち的存在だと思っています。
直接的に会員の皆さん方の大会・審査等での成績が良くするような活動はできません。
それらは、他の専門部にお任せするとして、ホームページや機関紙「弓道石川」の各種記事を通じて、弓道に新たな視点で頑張ろうとか、やってみようとか刺激になるスパイスのような役割だと思います。
掲示板のような書き込みができる手段も昨年のねんりんピックの際に試行しましたが、迷惑書き込みがあっという間に激しくなって、閉鎖した経験から難しいです。

 さて、私が弓道を始めたのは、入社3年目。
異動で仕事や環境が変わり、ストレス解消に何かしたいと思っていた矢先、住んでいた埼玉県所沢市の市報で弓道教室募集記事が目に止まったことから始まります。
弐段までは3年でしたが、その後も再三の異動で出来なくなり参段は14年後。その後も休眠状態が断続的に続き40年が過ぎました。
そんなことで矢数を掛けた時期ががなく、一番大事な離れの感覚は今だに良く分かっていないと思っています。
近年の講習会でも、「会までは素晴らしい(励まし)ので、どんな離れをするのかと期待していたら、がっかりだった」と言われています。
そんなこともあり、錬士にもよくぞして頂いたものだと思っています。
 一方で私の、弓道の楽しみは、講習会で指導頂いたこと、身近な人の一言、別のスポーツ等でヒントを得たことを、自分なりに本質を考え、改善につなげていくこと、更にその過程を記録していくことです。
記録文は600を越しました。今読み返すと汗が出るものも多いですが、私の大事な宝物です。
そんな中のいくつかを、「弓道石川」の「閑話休題」へ恥ずかしながら投稿させていただきました。そろそろ引き際かなとも思っております。
 現実は相変わらず、矢数も少なく、素引き、巻き藁中心の頭でっかち状態ですが、これから仕事をリタイヤする時期に向かい、もう少し的前稽古も充実していきたいと思っています。
これからもよろしくご指導頂きますようお願いいたします。
(H24.5.25)