「乙未の初春に思う」
平成27年を迎えて、石川県弓道連盟会員の皆様およびご家族の皆様に初春のお慶びを申し上げます。今年も明るく楽しく笑いのある生活を送りたいと思います。心身弓を鍛え、磨き、弓の道に邁進いたしましょう。本年もどうぞよろしくお願いいたします。平成27年1月吉日
石川県弓道連盟会長
水橋 美喜夫
さて、昨年を振り返りますと、かなり起伏の激しい年だったと思います。皆様は如何だったでしょうか。個人的には忘れられない年の一つになりました。社会的な事象で考えれば消費税が8%になり、この後も更なるアップが予定されています。景気の先行きは決して楽観視できません。超高齢社会の到来と総人口の減少による影響も大変気になるところです。気象については、もはや異常が通常になり、何十年ぶりと言う形容詞が何回も繰り返されています。大型台風によって県民体育大会が中止になり、長崎の国民体育大会や栃木のねんりんピック大会も大きな影響を受けました。世界各地では悲惨な事件や事故、価値観の違いによる醜い争い、新種の疫病等不安な話題が絶えません。今年の干支の羊(未)の性格になぞらえて、少しは平和で安定した温かい社会になってほしい、また羊を語源とする漢字のように「善・翔・祥・美」の日々であってほしいと願います。
本県連盟事業に目を向ければ、昨年は国民体育大会および全日本遠的選手権大会での活躍が際立ちました。選手本人の地道でひたむきな努力の成果を讃えたいと思います。そして県連会員すべてが着実に力をつけてきた証だとも感じています。今後とも気を緩めず、会員一丸となって連盟目標に掲げた項目の連年達成に向けて頑張りましょう。
さらに、年末の審査で新錬士が誕生したことも嬉しい出来事です。まだまだ力がある会員が大勢います。五段の皆さんには今年こそ大輪の花を咲かせて欲しいと念願します。
一方で、各種大会、予選会、講習会等への参加者の減少や固定化ということが気になるところです。もっともっと挑戦しましょう。汗をかき、恥をかかなければ大きな成果はありません。特に若い会員の方々の積極的な姿勢と行動とをお願いしたいと思います。幸いにして事務局や各専門部の部長をはじめ部員の皆さんが着実に事業を牽引していただいており、感謝したいと思います。県連発展のためにひらめいたアイデアや前向きな提案などはいつでも歓迎します。
大きな話題として平成29年4月が石川県弓道連盟創立70周年の大きな節目にあたります。これに何らかの記念事業を、例えば記念誌の発刊や記念祝賀会の開催等を検討しています。全国大会の誘致も検討材料の一つです。皆さんの楽しい企画や斬新なご提案をお願いしたいと思います。
北陸にとって追い風になるのが目前に迫った新幹線の開業です。東京まで2時間30分です。関東はもとより東北も身近になります。大きなメリットがある反面デメリットもあるかもしれません。気後れせずに新たな時流の波に乗って前進したいものです。
最後になりましたが、初春に思う私の三大テーマは「挑戦・明るく・虚心坦懐」です。何事にもどんどん挑戦する気概を持ちたい。心にはいつでも夢を抱いていたい。弓の幅を広げるため大いに勉強し、あらゆる分野の書籍を読み、講演を聴き、自分磨きをしたい。そして、弓も人生も明るくなければいけません。自らが小さな灯りとなって周囲を明るく照らす人になりたい。そして肝心なことは、こうした夢や挑戦は自分の都合から出発するものではなく、我利我欲を捨てて、世のため人のためになるものでなければ意味がありません。とらわれず、偏らず、こだわらずという言葉の重みと深さを、もう一度かみしめ、時間をかけて咀嚼してみたいと思います。
思うに、私のこうした発想の原点は、今は亡き両親の背中の教えを土台として、弓道修業の過程で学び、育み、醸成されてきたものが大きい気がします。「弓を学ぶのではなく、弓から学ぶ。弓を教えるのではなく、弓で教える。」これが今やゆるぎない私の人生哲学になっています。
「チームワーク・愛情・気づき」
3月の県連理事会および評議員会において県連会長職再選の推挙および承認をいただきました。改めて身が引き締まる思いです。私以外の役員についてもほぼ留任いただき感謝申し上げます。平成26年4月吉日
石川県弓道連盟会長
水橋 美喜夫
県連会長職は思っていた以上にハードな業務です。県連行事だけでも年間を通して隙間なく日程が組まれていますが、これに加えて、北陸三県及び北信越五県の関連諸行事があり、さらには全弓連への会議出張や公益法人改革大綱への対応もあります。風通しを良くしたいという公約に基づき、出来る限り知り得た情報の共有(相互提供)と時間をかけた説明を心がけてきました。まだまだ不十分かつ非力ではありますが、会員の皆様のご理解とご協力をいただきながら、引き続き務めてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。
さて、2年前に「県連新会長に就任して(抱負など)」と題するご挨拶をホームページに掲載させていただきました。今回も再選を機に少しばかり思うところを述べたいと思います。
県連会長として考える大きな方針はこれまでと同様の4本柱であります。この事は、今年の全弓連機関誌「弓道」1月号の巻頭言においても発表させていただきました。
本稿では別の視点から、標題の3項目について書かせていただきます。
1点目の「チームワーク」ですが、組織で取り組む事業の成否は、チームワークの如何にかかっていると言っても過言ではありません。階層別にリーダーがいて、全体として一つの目標に向かって知恵や工夫を凝らし、連携・協働しながら共に汗をかくことが大切です。どんなに困難かつ複雑な仕事であっても、仲間のチームワーク・結束力・助け合いがあればそのハードルは容易に乗り越える事ができます。県連会員は多様な年齢層や職歴の方々で構成されています。それぞれの経験・知識を寄せ合わせ、互いの強みを生かしあい、弱みを補いあいながら、同じ趣味を持った仲間同士が切磋琢磨しつつ、チームワーク力を磨きあげていきたいものです。
2点目の「愛情」ですが、これは弓道そのものへの愛情です。近年の講習会では恭・敬・愛という言葉がよく使われますが、これも同じことを指しています。道具類には使わせていただいている、道場(場所)には練習等の場を提供いただいている、周りの弓友には共に射品・射技向上を目指して刺激や応援をいただいている、そういう謙虚さと感謝の心を持ち、一期一会のうちに、慎み、敬い、労わり、尽くして求めない心、これが愛情だと考えています。もちろん、言うは易く行うは難し。愛おしむ、愛でるという心が弓道人らしさを養う力となり、ひいては組織の発展に繋がっていくのだと思います。
3点目に「気づき」を挙げました。今の世は手軽にノウハウ情報が取得でき、講習会等でも基本を中心に徹底して教えていただくのですが、講習会の翌日からは、やっているつもり、できているつもりで、いつしか振り出しに戻ってしまっています。これは勉強不足や怠惰な心のみならず自分の姿が見えないことに起因しています。他人の悪癖などはしっかり見えるのです。それを他山の石、反面教師に活かさない自分がいるのです。高段位になるにつれて、そんなことは知っているよ、自分はちゃんとやっているよと思い、自分には耳の痛い指摘を認めたくなくなるようです。やっているつもりだが、実はできていないのです。まずはそれに気づくことから始めませんか。先の弓道石川にも投稿しましたが、常に「離見の見」の心構えを持ち、己を厳しく評価することがステップアップへの鍵であり、共に励むことで組織の発展に繋がると思います。
今年は花冷えの日々が続いたためか桜の開花期間も長かったような気がします。私はいつも桜の花を観るにつけ、目の前の華々しい情景の陰には、地下深くに張って養分などを送り続けている根っこの素晴らしさに思いを馳せています。これこそ「チームワーク」の力の結晶であり、自然の恵みという「愛情」を享受した精華であり、そうした自然法爾の理に「気づく」ことの大切さを無言で教示している、と言えば考え過ぎでしょうか。弓から学ぶことは無限です。明るく楽しく、着実に弓の道を歩みましょう。