『目標は「基本」と「わくわく」』

平成28年1月吉日   
石川県弓道連盟会長   
   水橋 美喜夫   
 平成28年丙申の新年にあたり、石川県弓道連盟会員の皆様およびご家族の皆様に初春のお慶びを申し上げます。今年も皆様と心を一つにして、心身弓を鍛え、磨き、キラリと輝く年でありたいと念願します。 
 昨年のトップニュースは北陸新幹線開業でした。マスコミは金沢や北陸を特集し、金沢駅を始め市内各地は昼も夜も溢れんばかりの観光客で賑わいました。NHKの連続ドラマ「まれ」の効果も見過ごすことはできません。関東・東北圏は本当に身近になりました。さらに、戦後70年と言う節目の特集も多く、改めて日本の歴史を学ぶ機会にもなりました。一方、海外における新たな紛争や避難民報道は悲惨です。また、インターネットやスマホに代表されるIT社会の犯罪も気になります。様々な情報が丸裸になり、数千万円を詐欺で失う怖い時代です。マイナンバーという新制度にも一抹の不安がつきまといます。高齢者にも優しい社会、人間臭さが尊敬される社会であってほしいと望むばかりです。
 こうした世情の中、(公財)全日本弓道連盟では役員改選に伴う会長交代がありました。新体制による昨年末の全国地連会長会議では、改革大綱を踏まえつつ、より公平・公正・公明さを求めるために種々の制度や規程類の見直しなどに着手しています。
本県連盟事業においては、昨年の紀の国わかやま国民体育大会および全日本遠的選手権大会での活躍が際立ちました。連年の入賞であり、選手本人を含む関係者すべての皆様に敬意と感謝を表したいと思います。今後ともさらに会員一丸となって連盟目標に掲げた四本柱の達成とさらなる飛躍を目指して頑張りましょう。
 全日本弓道連盟が要請してきた分担金(会員ID登録料:一人千円)の実施では議論続出でした。県連会員そのものの大幅な減少も危惧されたところですが、ふたを開けてみれば杞憂に終わりホッとしています。皆様のご理解とご協力にお礼を申しあげます。 
 さらに、平成29年4月が石川県弓道連盟創立70周年の大きな節目にあたります。会員の皆さんからいただいた多くのご意見やアイデア等を参考に、出来る限り皆さんが満足し、記憶に残るような楽しい事業を企画・実行していきたいと念じています。
 今年の年始は素晴らしい好天に恵まれました。これほど穏やかで雪がない正月は記憶にありません。どこか物足りなさもある風情ですが、これも異常気象の兆候でしょうか。初詣に出かけた神社の一つに有名な「三猿」の彫像を見かけました。「見ざる、言わざる、聞かざる」の意味を改めて検索すると、遠く論語や天台教学に源があるようです。私の個人的解釈は、迷い・欲望・堕落につながるものは三猿に徹すべきだが、自己を磨き、人間性を鍛えるものには「大いに観て、聴いて、話す(伝える)」べき(一種の反面教師)という教えだと理解しています。面白いのは、本来は「四猿」だという説です。そこに加えるのは「せざる(動かざる)」だと言う説、もう一つは「思わざる」だと言う説です。私は後者の方が腑に落ちます。すべてのストレスや迷い・不安の根源は欲しがる心、執着心からです。勝つことは易く、克つ事は難しと言いますが、凡人の身としては耳に痛く感じます。
 さて、最後になりましたが私の新年の目標に「基本」と「わくわく」を掲げました。基本に徹する、基本が大事だと幾度となく「見せられ・言われ・聞かされ」ています。当たり前と認識しながら、残念なことに大抵はその基本ができていません。そしてそれに気づいてすらいません。まさに基本は奥義なりです。改めて今年は「基本」の徹底・探究に取り組みたいと思います。もう一つの「わくわく」は同義語に心が躍る、胸が弾む、うきうきする、胸がときめくなどがあります。弓道の修行でも人生においても、わくわく感を持てば心身に豊かさが出てきます。ほんの少しで良いです。日常の中にわくわくはいくらでも潜んでいます。脳がわくわくすれば身体がわくわくし、観える世界も変わるような気がします。