内灘町弓道協会弓道教室感想文ページ・H26




『弓道と私』 (内灘町 大地美千子 83歳)

「お母さん弓やってみる?」
町の広報を見た娘から軽く声を掛けられ、何でもやってみたい昭和一桁(今年、干支七回目)の私、「そーね」と返事をし、全十五回の練習に加わった。長刀をしたかった私には、弓も面白かった。

礼に始まり礼に終わる日本古来の伝統物は、皆通ずるものがあると思った。弓を射る基本の法則である『射法八節』を色々先生方に指導され、私の弓道人生が始まった。

一緒に入門した初心者四人の中でも、若い人達は早々と形が作られて行く。それを横目で見ながら、昭和一桁は足腰も思う様にならずフラフラと付いていく。
それでも先生方のおなさけと励ましに支えられて、週二回、月曜と木曜の練習を楽しくこなし二ヶ月の練習を皆勤で参加、無事終了証書を頂いた。
練習最後の日に胴着と袴一式を見立ててもらい購入。卒業後初のお稽古の日に着付けを習って早速着てみる。真新しい胴着と袴を着けて鏡に映った姿は我ながらそれなりに格好良い、満足。

私も弓を射られる一人だと思い、先輩方の格好良い姿に憧れていた自分に、これからは弓道の道を少しは進みたいと云って聞かす。ところが現実は中々そうはいかない。
打起しや引分が上手くいかない、手の内が定まらない、先生を悩ませている腕の痛さ、足腰の痛さなど、それでもお稽古の回を重ねるごとに徐々に慣れてきた。
先生方も、私の年齢を考えて無理は云われない。諸先輩方の弓を射る時の姿勢を見乍ら憧れ、私も早く一人前の弓が射られる人に成りたいと日夜思い続け、家にいても気が付けばイメージトレーニングをしている自分に気づく。
そのお陰か、落ちていた握力が少しずつ戻り、巻藁に向かって立つ時も足をしっかり開き踏ん張って立っている自分に驚いている。