令和3年 年頭所感
『苦中にこそ楽と夢を見出す』

令和3年1月吉日   
石川県弓道連盟会長   
   水橋 美喜夫   
                               
 県連会員の皆様、明けましておめでとうございます。
西暦2021年、令和三年「辛丑(かのと・うし」の新年にあたり、皆様には幸多き素晴らしい年となりますようお祈りいたします。
 あまり触れたくない話題として、とりわけ昨年は新型コロナ感染症対策のために、世界が振り回されました。これは過去形ではなく、現在進行形としてこれからも当面続くことが予想されています。人間世界では新年で心機一転と考えていても、ウィルスは何の忖度をするわけでもなく、着実に変異を繰り返し見えない恐怖としての強靭さを増しています。
 先の弓道いしかわの巻頭言にも記載しましたが、これはまさに「正解のない課題」です。今は専門家の意見を素直に聴き、できる限り行動を自粛し、予防対策に徹してワクチンの完成を待ち、自らの体力(免疫力・抗体能力)アップを図ることが一番有効だと思います。皆様も弓道修練を通して体力・気力を充実強化していただくようお願いいたします。
 全弓連でも来年度の事業計画をまだ具体的には示し切れていません。県をまたぐ行動の自粛や、連合会単位でも大幅に人数制限を工夫するなどが検討されていますが、今後の感染症拡散次第で事業方針が大きく左右される可能性を秘めています。
 当石川県連としても、各種事業の実施・中止の判断は慎重にせざるを得ません。昨年は、会議を書面で実施、競技はオンラインまたは時間割で、講習会は分散会場で人数制限、審査はビデオ審査または時間割で対応してきたところですが、暫くは同様の方法の継続やむなしと考えています。
 「人と直接会うな、人や物に触れるな」という国をあげての行動制限指示は私たちの生活や意識に大転換をもたらしました。これはまさに「苦」でしかありませんが「苦中に楽あり」(六中観)という言葉を思い出します。「いかなる苦にも楽はある、むしろ激痛を伴うほどの苦を体験して初めて真の楽(安寧)の心境に辿り着く」という深い意味です。今年の干支に倣って牛の胃袋のように、よくよくこの言葉を反芻して今の苦を味わうことも一策です。コロナウィルス騒動(苦)は人類に警告を発し、そして人類を巧妙に試しつつ、明日への希望や夢を叶える道を無言にして雄弁に語っているのではないかとさえ感じています。
丑の語には結ぶ・絡むの意のほか、蒔いた種が少し芽を出した状態を指すとも言われています。備えあれば憂いなし。危機管理を根っこにして時が来れば必ず新しい(次の時代の夢あふれる)芽が顔を出す、と信じたいものです。
 会員の皆様方にはコロナやインフルエンザ等の病魔予防を十分に徹底していただき、本年も県連の一層の発展のために格別のご支援・ご協力をお願いし、制限付きであっても弓が引けることに感謝しつつ、共に明るく楽しく豊かな弓道人生となるよう念じて年頭の挨拶といたします。